天国の空 ~「私は昔、ここの空を飛んだことがある」~

飛行機の窓から見た雲海

彼が飛行機でフランクフルト上空にいた時、隣の席に座ったアメリカ人の老人に話かけられました。会話中に急に元気をなくした老人がポツリと言った一言は、とても深く切ないものでした。

‐‐‐‐‐‐‐‐‐< 以下、本文です。>‐‐‐‐‐‐‐‐‐

二十歳でヨーロッパに旅をした時の実話をいっちょう。

ルフトハンザの国内線に乗りフランクフルト上空にいたとき、

隣に座っていたアメリカ人のじい様に話しかけられた。

仕事か旅行か、日本はいい国だ、とか世間話をしたとき、

「私は昔、ここの空を飛んだことがある」とじい様がポツリと言うので、

俺が、あなたは飛行機を操縦できるのかと聞いた。

実はじい様は、 戦争のとき爆撃機のクルーで、フランクフルトを爆撃しに来たことがあるそうな。

それを話したことでじい様は何を思い出したかしょんぼりして、

「平和は一番大事なことだ。日本人の君は、それがわかるだろう」

と言った。

俺はただうなずいたが、若いのもあって、消沈したじい様が隣に座ってるのがやだなあなんて思ってしまった。

そこでじい様、雲海を見ながら一言。

「きっと天国ではアメリカもイギリスも日本もドイツも、みんな仲良く飛んでいるよ」

今思い出すとほろっと来るエピソード。

じい様にはあの雲海の中に、たくさんの国の飛行機が仲良く飛んでいるのを想像したのでしょう。

俺はそれ以来「メンフィス・ベル」を観るといつも少し、泣きます。

2つのセーブデータ ~オマエ退院するまでコレ借してやるよ~
小児喘息で入院した少年は携帯ゲーム機を通じて同室の少女と友達になりました。やがて少年は退院。しばらくして少女を見舞いに行...
天国の空 ~「私は昔、ここの空を飛んだことがある」~
彼が飛行機でフランクフルト上空にいた時、隣の席に座ったアメリカ人の老人に話かけられました。会話中に急に元気をなくした老人...
お兄ちゃんとドラクエ3 ~3つ年上の兄は、妹想いの優しい兄でした~
彼女にはの3つ年上のお兄さんがいました。とても優しいお兄さんで、小さい頃にはドラクエ3を一緒にやった思い出があります。で...
赤と水色のおもちゃの指輪 ~もう私頑張れないかも。もう、駄目~
中々子供に恵まれないその夫婦は、三度目の流産を告げられた後、病院の待合室で悲しみに暮れていました。その時です、「もう死に...
痰助と名付けた猫 ~湖の駐車場でガリガリの猫が寄ってきた~
その猫と彼の出会いは湖の駐車場。帰りの車内で喉に痰を詰まらせる猫の様子を見て彼は「痰が詰まってるから痰助」と名付けました...