母の炊き込みご飯 ~「炊き込みご飯作ったよ。沢山食べなさい」~

お箸を添えられた炊き込みご飯

小学校の頃に大好きだったお母さんの炊き込みご飯。誕生日や記念日には必ず出てきていた炊き込みご飯。大人になって、実家に帰ると待っている炊き込みご飯。お母さんの味でした。

‐‐‐‐‐‐‐‐‐< 以下、本文です。>‐‐‐‐‐‐‐‐‐

俺は小学生の頃に母の作った炊き込みご飯が大好物だった。

特にそれを口に出して言った事は無かったけど母は判っていて

誕生日や何かの記念日には我が家の夕食は必ず炊き込みご飯だった。

高校生位になるとさすがに「又かよっ!」と思う様になっていたのだが

家を離れるようになっても、たまに実家に帰ると待っていたのは母の

「炊き込みご飯作ったよ。沢山食べなさい」の言葉だった・・・

会社に電話が来て慌てて向かった病室には既に近くの親戚が集まっていた。

モルヒネを打たれ意識の無い母の手を握り締めると母の口が動いた。

何かを俺に言いたそうだった。母の口元に耳を近づけると

「炊きこ・・・たよ。たくさ・・・・さい」と消え入りそうな声で言っていた。

それが最後の言葉だった。

「ママの作ったスパゲッティー大好き!」

口の周りを赤くしてスパゲッティーを食べる娘と

それを幸せそうな目で見つめる妻を見る度に母の炊き込みご飯が食べたくなる。

祖父から祖母へのラブレター ~余命があとわずかである ことを知らされていた~
そのお爺ちゃんは、脳梗塞で入退院を繰り返していました。家族は皆、お爺ちゃんの余命があとわずかであると知っていました。やが...
黄ナンバーのモンキー ~明け方、夢を見た。妻の夢だった。~
携帯もパソコンも苦手なそのおじさんは、15の頃からバイク好き。けれど、15年前の夏に奥さんを亡くしてからは子育てのために...
俺の飼ってた亀が死んだ ~おまいはイカのしおからが何故か好きだった~
ある日2ちゃんねるに「飼っていたカメを亡くした」という方がスレッドを立てました。はじめはしんみりとした雰囲気だったのです...
ばあばとの約束 ~妻よ、きみと俺の愛する娘は今日4歳になったよ~
彼の奥さんが他界してから7ヶ月後、娘さんは4歳の誕生日を迎えました。その日、親子は奥さんの墓参りへ行ったのですが、娘は墓...
兄ちゃんはヒーロー ~真っ暗な夜、ずっと歌を歌って励ましてくれた~
借金から逃げるため両親が子供を置き去りにして行方をくらましました。残されたのは幼い兄弟。兄は必死で弟を守ろうとしました。...